バイクと出会った日のこと。
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STORY
バイクと出会った日のこと。
大学生のころ、カンボジアをひとり旅していた。
特に目的があったわけじゃない。どこか遠くへ行きたかった。日常から少し離れたかった。そんな曖昧な理由で、安いチケットを買って飛び立った。
ある日、小さな村の近くを歩いていると、地元の少年が声をかけてきた。英語もほとんど通じない。でも彼は笑いながら、自分のバイクの後ろを指さした。「乗れ」ということらしかった。
正直、怖かった。知らない土地で、知らない人間のバイクに乗るなんて。でも気づいたら跨っていた。
少年はバイクを走らせ、舗装されていない道を、森の中へ進んでいった。風が顔を叩いた。土の匂いがした。木々の隙間から光が差し込んでいた。言葉がなくても、なぜかすべてがわかるような気がした。
その10分ほどのあいだ、僕はずっと笑っていた。
日本に帰ってすぐ、免許を取りに行った。あの感覚をもう一度味わいたかった。それだけだった。
免許を取ってからは、毎日バイクに乗っていた。授業の前も、授業の後も。特に行き先なんてなくていい。ただ走るだけで十分だった。深夜に何時間も走り続けたこともある。信号待ちで止まるたびに、次はどこへ行こうかと考えていた。バイクに乗っている時間が、一番自分らしかった。
MOTOREALは、そういう時間を誰かに届けたくて作ったブランドだ。かっこよくバイクに乗る。それだけのために、革を選んで、縫製にこだわって、日本の職人と向き合ってきた。
知らない土地で、知らない少年に、人生を変えてもらった。言葉はなかった。でも、すべてが伝わった。あの瞬間から、僕のバイク人生は始まっている。