黒い板壁の前に停めたGB350

なぜ、バイクの価格は上がり続けるのか。

COLUMN

なぜ、バイクの価格は
上がり続けるのか。


最近、「バイク、高くなったな」と感じることが増えた。

Z900RSは、2017年の発売時が130万円前後だった。今は150万円を超える。2022年から、ほぼ毎年のように価格が改定されている。Ninja 400も同じだ。2018年の発売時は69万9,840円。2026年モデルは81万4,000円になった。色が変わっただけで、2万2,000円の値上げだ。

ある調査では、国内主要8メーカーの同じ機種で、新車の価格は2020年から2024年までに12.4%上がったという。同じ期間の消費者物価の上昇は8.6%。バイクは、物価より速く上がっている。

バイクは、物価より速く上がっている。そして、安くなる理由が見当たらない。

01 — なぜ、価格は上がっているのか

理由は、大きく3つあると思っている。

ひとつは、規制だ。2022年に排出ガス規制が全面適用され、CB400SFもSR400も生産を終えた。CB1300も、2025年のファイナルエディションで30年の歴史を閉じた。残ったモデルも、規制に対応するために部品が増え、その分が価格に乗っている。

ふたつめは、材料と為替だ。アルミも鉄も樹脂も、世界の相場で決まる。そこに円安が重なった。ヘルメットも同じで、アライは今年12月に全品を8〜15%上げる。3年連続の値上げだ。

みっつめは、人だ。人手が足りないから、賃金が上がる。技術に見合った賃金を払うのは当然のことで、それは価格に反映される。

02 — 中古も、もう安くない

新車が高いなら中古で、と思う。でも、中古の相場は新車以上に上がっている。

業者間オークションの平均落札額は、2020年から2024年までに63.5%上がった。理由のひとつは円安だ。オークションで取引されたバイクの、およそ半分が海外へ輸出されている。日本のバイクが、日本から出ていっている。国内に残る台数は、これから減っていく。

03 — どこまで上がるのか

正直に言うと、僕は今後も上がり続けると思っている。規制も、材料も、人も、安くなる理由が見当たらないからだ。

04 — では、買い時はいつか

よく聞かれる。僕の答えはひとつで、「欲しいと思ったときが、買い時」だ。

とはいえ、バイクは数十万円、ものによっては百万円を超える買い物だ。簡単に決められるものではない。だからこそ、自分が何に迷っているのかを、一度見てみるのをすすめたい。

「高いけど、それでもこの一台が欲しい」と思っているなら、その人の中には、もう理由がある。エンジンの鼓動。たたずまい。そのバイクで走る自分の姿。値段よりも、そういう本質に惹かれているなら、その選択はきっと後悔しない。

一方で、「今が底値だから」「値上げ前だから」という理由だけで手が伸びているなら、少し立ち止まってみてほしい。安かったから買ったものは、使わなくなることが多い。思い当たる人は、少なくないはずだ。バイクは、気に入ってこそ乗りたくなる道具だ。値段が主役になった買い物は、満足が長続きしない。

一台と、長く付き合う時代

バイクは、以前のように気軽に買い替えるものではなくなってきた。でも、その分だけ、一台と長く付き合う時間が増えている気がする。

一台に長く乗るなら、付けるものも、長く使えるものがいい。革は、使った年数がそのまま表情になる。僕がバイクのために革を選んだ理由は、そこにある。

バイクが高くなったのは、残念なことだけではない。一台を選ぶ時間と、一台と過ごす時間が、前より大切になった。僕はそう思っている。

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